塗り替えがずっと続けば良いのに

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ここ2.3年の母親は、親子なのに祖母と上手く行っていない。
母親、「お婆ちゃんの食器片付けて」
私、「うん」
足が不自由になってからの祖母は、自分の部屋で御飯を食べる。
食器を片付けるのに、祖母の部屋から出ると
母親、「カーテンを閉めて来て」
私、「カーテンを閉めたら部屋が暗くなるよ」
母親、「良いの。今日から家の塗り替えをするのに業者さんが来るから」
祖母の部屋に入り
私、「お婆ちゃん、カーテンするね」
祖母、「ありがとう」
足が不自由になってからの祖母からは頻繁にお礼を言われているが、孫の私にいちいちお礼を言わなくても良いのにと私は思っている。
祖母の部屋を出る時
私、「今日から家の塗り替えだよ」
祖母、「そうだったわね。忘れてたわ」
私、「カレンダーに家の塗り替えって書いとく?」
祖母、「そうね」
祖母の部屋のカレンダーに、家の塗り替えを示す赤丸を沢山書いた。
学校へ行くのに家を出た私が祖母の部屋を見ると、閉めたカーテンが開いていた。
学校を終え家に帰ると、家の周囲にネットが張られていた。
家に帰った私が祖母の部屋へ行くと、カーテンは閉まっていた。
私、「お婆ちゃん、部屋は暗くない?」
祖母、「大丈夫だよ。気を遣ってくれてありがとうね」
祖母の部屋を出た私がリビングでオヤツを食べていると
母親、「お婆ちゃんにも、お菓子を持って行って」
私、「うん」
母親が用意したのはお菓子と缶コーヒー。
私、「お婆ちゃん、コーヒーなんて飲まないよ」
母親、「家の塗り替えをしてくれている業者さんが飲むのよ」
私、「えー、私が業者さんに持って行くの?」
母親、「貴方は持っていかなくても良いわよ。お婆ちゃんがやってくれるわ」
私、「足が不自由なお婆ちゃんでは無理よ」
母親、「良いからお婆ちゃんに持って行って」
祖母の部屋にお菓子と缶コーヒーを持って行くと、暫くして祖母の部屋から笑い声が聞こえた。

仕事から帰った父親、「お母さん機嫌が良いね。何かあったの?」
母親の機嫌が良いのは、祖母の機嫌が良いからだ。2人の機嫌が良いのは、家の塗り替えが行われた約1ヶ月間続いた。

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